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東京の瀟洒な場所にある、多種多様な体験が出来る女子の進学校。

加藤: 細野先生、本日はよろしくお願いします。

細野: こちらこそよろしくお願いします。

加藤: では色々とお伺いします。田園調布学園では「捨我精進」を建学の精神としていますよね。また、校内には「精進の鐘」もありますが、別に仏教系の学校ではないのですよね。

細野: はい、仏教の言葉は借りていますが宗教色は全くありません。鐘に関しては、ミレーの晩鐘という絵がありますよね。

加藤: はいはい。

細野: あの絵は教会の鐘の音を聴いて一日の労働を終えた農夫が感謝を込めて皆でお祈りをしている絵なんですよ。それに感銘を受け、学校生活をスタートするときにも鐘の音を聴きながら皆で自分を見つめる時をもつということで始まった黙想という習慣なんです。 

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加藤: 素晴らしいですね。ただ、逆に宗教色の強い学校と勘違いされる方もいるのでは。

細野: たまにいますね(笑)。学校説明会では宗教色は全くないとお伝えしますし、校内見学の際に鐘の近くを通るときは、梵鐘の文様は学校の校章のナデシコが描かれているという話もします。

加藤: 建学の精神に基づいて「ディプロマ・ポリシー」「カリキュラム・ポリシー」「アドミッション・ポリシー」というのを積極的にアピールしていられるようですが、具体的にはどのようなものなのでしょうか?正直、ちょっと分かりづらいのですが(笑)。

細野: ははは(笑)。まあ、こういう生徒を育てていきたいという軸を作ろうということで3つのポリシーを定めました。捨我精進というのは、一生続くものなんですよね。単に大学に合格するというだけでなく、将来生徒たちがそれぞれのフィールドで活躍出来るように育てようということです。これは昨年の5月に設定しました。

加藤: 具体的にはどのようなことをなされているんですか。

細野: どのような力を身につけることになるのかという、学校ルーブリックを設定して指導につなげています。

加藤: 土曜プログラムもその一環なのでしょうか。ちなみに土曜プログラムは毎週実施しているのでしょうか?

細野: いや、月に2回くらいですね。土曜プログラムもコアプログラムとマイプログラムにわけて実施しています。コアプログラムでは学習系やキャリアデザインに関するものを実施し、マイプログラムでは個人の興味ある講座を選択できるようになっています。全部で170講座ほどですね。

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加藤: 基本的には全員参加なのでしょうか。

細野: そうですね、授業の一環なので全員参加、必修講座です。

加藤: 人気の講座とかはあるのでしょうか。

細野: 例えばマイプログラムでプログラミング講座を受講する場合などは、1回だけでは無理ですので、続けて受講する形になります。あとは和太鼓、ヨガ、エアロビクスの講座が人気ですね。人数も限られますので抽選になってしまします。気象予報の講座も人気です。また、医療系を目指している生徒には遺伝や福祉の講座が人気ですね。世田谷にマクドナルドハウスという難病の子と家族が宿泊する施設があるんですよ。地方の子が東京の病院でしか治療を受けられないようなケースです。そういった施設を見学したりもします。将来、どんな職業に就こうかなと思ったときに、気軽に体験できるのもマイプログラムの魅力だと思います。

加藤: コアプログラムでは企業による出張授業がありますね。

細野: 主にキャリアデザインでは中3、高1を対象やっています。例えば5つの企業による出張授業ということで、実際にどういった仕事をしているのかなどの話をしてもらってます。次回のコアプログラムでは、5つの企業に参加してもらいます。

加藤: 他の学校では、こういったキャリアデザイン教育に保護者やOBを活用するケースも多いのですが。

細野: それは前回のコアプログラムでやりました(笑)。多種多様な職業の方に来てもらっています。

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加藤: それは講演形式ですか?

安達: いや、ブース形式でやっています。やはり身近な人から直接話を聞くのは自分の将来のビジョンを描くのに分かりやすいと思います。

加藤: 大学進学実績などに土曜プログラムでの影響は出ていますか?

細野: もちろん普段から大学進学に向けての指導はしっかり行っていますし、ポートフォリオも活用しているのですが、やはり土曜プログラムの体験は視野を広げたという点で大きいと思うんです。やはり体験するからこそ発見や気づきを自分の言葉で表せると考えています。今年大学進学で伸びたのがAO入試や公募推薦なんですよ。昨年の倍になりました。結果を出せたことで私たちも自信になりましたし、今後もこういった形の大学入試が増えてくると思いますので良いスタートが切れたと思います。

加藤: 大学入試の話が出たのでそちらもお伺いします。今年、合格実績が伸びていますよね。

細野: 国公立、早慶、上智、東京理科大が伸びています。早稲田は10名くらい増えましたね。

加藤: 早稲田などは今、合格者を絞ってますよね。凄いじゃないですか。

細野: 私もびっくりしました(笑)。横浜国大に6名進学、横浜市大医学部に1名進学しましたので本当にびっくりです。

加藤: 理系、文系の比率はどうなんでしょうか?

細野: 大体半々で、やや理系が少ないといったところですね。今年は理系が43%です。来年は若干増えそうですね。

加藤: 細野先生は数学科なので、出来るだけ理系を増やしたいと思ったりしていますか(笑)。

細野: それは特にはないです(笑)。ただ、理系教育に関しては変に苦手意識を持ったりしないように興味を持たせることを心がけています。数学が出来ないから文系みたいな消去法的な選択はしてほしくないと思っています。変な話、数学が出来ない生徒も理系を選択するんですよ(笑)。でもそれはすごく自然なことだと思っていて、生徒たちがやりたいと思ったことに向かっていく。それが本校の進路指導の一つですね。

加藤: 先ほどポートフォリオの話が出ましたが、ICT教育はどのようにされているのでしょうか。

細野: まず中1の土曜プログラムで、ネットの利便性や危険性を学びます。次に中2から一人一台PCを持たせて、授業やポートフォリオや、また連絡手段にも使っています。動画作成とかもしていますね。

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加藤: 動画ですか。

安達: 学校のCMみたいなものを作らせたりしています。(実際に生徒作成の動画を拝見させていただきました。)

加藤: 細野先生はよく説明会などで「ハノイの塔」の話をされますよね。そういったものもICTで活用されるのでしょうか?

安達: 私が授業で使うのはグラフソフトを使ったものが多いですね。ハノイの塔みたいなものは、出来れば手を使ってほしいです。やはりICTとの使い分けが大切だと思います。

加藤: さすが数学の先生ですね(笑)。

加藤: 続きまして授業に関する質問をさせていただきます。私のイメージですと宿題が多いという感じがあるのですが。

細野: そうですね、平均すると毎日2時間くらいですかね。確かに中1のころはまだやり方が分からない生徒もいるので少し多いと感じるかもしれません。ただ慣れてくれば要領も分かってきますのでさほど負担に感じる量ではないと思います。また英語などは予習も宿題になっています。他の学校では予習と宿題を別にしていることもありますので、宿題の量的には他の学校とあまり変わらないと思います。

加藤: 補習とかはどうなっているのでしょうか。

細野: 中学3年間は定期テストの前後に指名制で数回補習を行っています。

加藤: そういった補習の際、クラブ活動はどうなるのですか?

細野: 指名制の補習になった場合、クラブ活動は制限されます。ただ回数もそう多くないので部活に大きく支障がでることはないです。また、生徒自身もクラブ活動を続けたいので指名補習に引っかからないように頑張っています(笑)。

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加藤: 最近では東京理科大や東京農大との高大連携を積極的にされていますよね。具体的にはどのようなことをされているのでしょうか?

細野: 例えば東京理科大が主催しているイベントに優先的に参加させて頂いたり、また本校独自のサイエンスカフェというプログラムで理科大の研究室を見学させて頂いています。あとは国際教養大の先生にお越しいただいて、グローバル教育や海外大学の話を講演してもらったりしています。 

加藤: 国際教養大の話が出ましたのでお伺いしますが、帰国生に関してはどのように対応されているのでしょうか。

細野: 今年の入学者は3名でした。ただ徐々に編入生が増えてくるんですよね。

加藤: 英語の取り出し授業は帰国生、編入生対象なのですか?

細野: いや、一般生でも中1で英検2級レベルがあれば対応しています。高2では現在13名くらい取り出し授業を行っていますが、その中には中学に入って初めて英語を勉強した生徒もいますよ。

加藤: 最近では海外大学を目指す生徒も増えていますが、田園調布学園ではどうなのでしょうか。

細野: 今年は2名でしたね。ただ、海外大学を目指すというより、例えば1年間の海外留学を課せられたりするような国内の大学を目指す生徒が多いです。

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加藤: 英語教育の話が出ましたので、それにからめて来年以降の入試についてお伺いします。来年の2月1日午後入試に、山脇さんや普連土さんが参入してきますよね。どちらも英語教育に定評がある学校です。影響とか出そうでしょうか。

細野: 正直、今の段階ではわからないですが、やはり午前入試で本校を選んでくれるというのは学校の教育方針などをしっかり吟味してくれていると思います。どうしても午後入試だと受かりやすさなどをメインに考えるご家庭が多いのではないでしょうか。

加藤: ということは、田園調布学園では午後入試を実施しないということでしょうか。

細野: 遠い先はわかりませんが、少なくとも当面は無いですね。

加藤: 入試での面接は続けるのでしょうか。

細野: はい。出会いですから。ただ他の学校の午後入試に間に合うように午後2時には終わるように設定しています。

加藤: 受験日程が2月1,2,4日なので、3日の公立中高一貫校との併願は多いですか?

細野: 桜修館、市立南、川崎附中などはいますね。ただ今のところ大きな影響はないです。

加藤: 通学範囲はどのあたりが多いのでしょうか。

細野: 東京では世田谷、目黒、品川、神奈川では横浜、川崎ですね。ただ最近では副都心線を使って東京の北の方からの生徒も増えています。

加藤: クラブ活動についてお伺いします。ずばり人気はどのクラブでしょうか。

細野: 今年はバトン部が人気でしたね。テニス部、弓道部、管弦楽部も人気です。新しいクラブでは映画の影響か、競技かるた部も出来ました。

加藤: 最近ではどの学校もダンス部が人気になっていますが。

細野: 本校ではダンス系の部活が、バトン部、ダンス部、E.S.S.、ミュージカル研究会の4つありますので、割とばらけます。
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加藤: クラブ活動の日数はどうなっているのでしょうか。

細野: 中学は週に3日まで、高校は4日までという原則があります。朝練は基本的にありません。

加藤: では最後に、田園調布学園のアピールポイントを教えてください。

細野: 土曜プログラムも含めて多種多様な体験を出来るのが魅力だと思います。その体験を通して、将来自分が進みたいきっかけを絶対に見つけられる学校だと思います。これはこの前遊びに来てくれた卒業生の話なのですが、その卒業生はSEとして就職したんですよね。土曜プログラムでプログラミング体験をして楽しかったという思いがあり、そちらに就職を決めたようです。

加藤: それでは先生、今日は貴重なお時間を割いてくださいましてありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。

細野: こちらこそよろしくお願いします。

世田谷区の田園調布というゴージャスな場所にありますが、別に特にお嬢様学校という感じではなく、すごく活発な生徒が多い学校です。現在、東校舎を改築中で、今年の9月に完成するようです。ますます校舎の魅力も上がってきますね。素晴らしい環境の元、いろいろな体験をしながら6年間を過ごせる学校だと思いました。

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ぜひ、実際に学校見学をされて志望校選択の参考にしてみてください。 

(2018年6月21日取材) 

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