開成祭は、門が開く前に始まっている

開成祭は、10月24日に校門が開いて始まるのではありません。逗子開成は10月14日、24日と25日の開成祭に向け、実行委員による公式ホームページが完成したと知らせました。開催の十日前には、生徒から来場者への発信が始まっていたのです。

学校の新着情報には、実行委員自身のメッセージも載っています。入場チケットや事前登録が要らないことを伝えたうえで、「実行委員、生徒一同」で来場を待つと結んでいます。短い文章ですが、生徒が行事を紹介される側ではなく、人を迎える側に立っていることがよくわかります。

文化祭の魅力は、展示や舞台の数だけではありません。初めて訪れる人に必要なことを知らせ、学校の外へ扉を開く。そうした仕事も、当日の催しと同じく行事を成り立たせています。用意された文化祭に参加するのと、自分たちで人を迎えるのとでは、行事との距離が違います。

公式発表が示しているのは、実行委員の役割が会場内だけで終わっていないという一点です。ホームページは完成すれば一枚の画面ですが、その前には載せる内容を選び、言葉を整え、公開する仕事がある。行事の前から外へ向けて動く生徒がいることを、学校は実行委員の仕事として伝えています。

私は、逗子開成の開成祭を知る入口として、この「迎える側」に目を向けたいと思います。生徒の活動は、当日の華やかな場面だけでできているのではない。まだ来場者のいない十日前から、自分たちの言葉で外へ開いていく。開成祭はもう始まっています。

逗子開成中学校・高等学校「開成祭実行委員によるホームページが完成しました」

理科の100分は、90分ではない

逗子開成の授業は、月曜日から金曜日まで、45分・7校時が原則です。二時限続ければ90分。ところが高校二・三年の理科には、100分授業があります。時間割に、さらに10分を足しているのです。

学校はこれを「単なる2時間ではない」と説明します。45分+45分+10分。その100分を使い、専門的な実験や大学入試演習にまとまった時間を割きます。授業を長くすること自体が目的ではありません。途中で切りにくい内容のために、時間の枠を変えています。

この10分だけを切り離せば、小さな差に見えます。しかし理科では、現象を追う実験も、考えを積み上げる演習も、鐘が鳴ったところで都合よく区切れるとは限りません。教える内容を時間割へ押し込むのではなく、内容に合わせて時間割の側を動かす。その判断が100分に表れています。

逗子開成の理科は、中学二年までに物理・化学・生物・地学の中学範囲を終え、中学三年から高校内容へ進みます。ただ先へ進むだけではなく、実験や観察を多く取り入れるとしています。高校で内容が深くなっても、実験に使う時間を細切れにしない組み方です。

私は、進度の速さより、この10分の使い方に学校の理科教育がよく出ていると思います。必要な時間が90分で足りないなら、100分を用意する。授業の中身に時間割を合わせています。

逗子開成中学校・高等学校「理科」

海を学年ごとの経験にする

逗子開成の行事予定には、海に関わる時間が何度も出てきます。中学二年のヨット進水式、中学三年の遠泳実習。そして秋には、中学三年のヨット帆走実習に続き、中学一・二年も帆走実習を行います。

海辺にある学校ですから、海を使った行事があること自体は不思議ではありません。ただ、逗子開成の場合は、一度の記念行事で終わらない。学年が変わっても、形を変えて海と向き合う時間が置かれています。

ヨットを海へ出すこと、長い距離を泳ぐこと、帆を扱って進むことは、同じ「海の行事」でも中身が違います。教室で説明を聞くだけでは済まず、自然の条件の中で自分の体や道具を使う活動です。学校が海を眺めのよい背景としてではなく、生徒が経験を重ねる場所として扱っていることがわかります。

私は、ここに逗子開成らしさがあると思います。一回やって終わりなら、強い思い出にはなっても、学校生活の軸にはなりにくい。しかし中学の複数学年で海へ出るなら、以前の経験を持った自分が、今度は別の活動に向き合うことになる。学年を重ねる時間が生きてきます。

学校を選ぶとき、「海が好きか」だけで考える話ではありません。この学校では、海から離れずに何度も経験を重ねていく。その時間を子どもの学校生活に置きたいか。逗子開成を見る入口は、そこにあります。

逗子開成中学校・高等学校「学校行事」

逗子開成、映画のあとに鑑賞文を書く

逗子開成の学校案内を読んでいて、「映画鑑賞」という項目で手が止まることがあります。映画は行事の余興なのかと思うかもしれません。しかし、ここでは鑑賞したあとに文章を書くところまでが学校の時間です。

映画上映会は1988年に始まり、上映本数は300本を超えました。各学年で年2回、高校2・3年は年1回、徳間記念ホールの大画面で鑑賞します。希望する生徒は、他学年の作品も放課後に鑑賞できます。

ここで終わらないところが、逗子開成らしいと思います。上映後には鑑賞文を書き、作者の意図や表現方法について自分の考えをまとめます。同じ作品を一緒に観ても、心に残る場面や言葉は一人ずつ違います。その違いを文章にするところまでが、映画鑑賞の時間なのです。

選ばれる作品も一つの型に寄っていません。2025年には「ANIMAL ぼくたちと動物のこと」「熱烈」「ぼくとパパ、約束の週末」「ぼくの家族と祖国の戦争」の4本が上映されました。学校は、さまざまな国の作品を、文芸から娯楽まで幅広く選んでいます。

受験勉強では、正解に早く届くことが中心になります。しかし、映画には一つの正解がありません。映像を受け取り、自分の考えを言葉にする。その時間を六年間の中に置いていることは、学校選びで知っておきたい逗子開成の一面です。

逗子開成中学校・高等学校「映画鑑賞」

説明会前に考えておくこと

秋の入試説明会を聞いたあと、「算数も国語も、勉強の進め方を変えたほうがよいでしょうか」と相談を受けることがあります。各教科の話を一度に聞くと、全部をすぐ直さなければならないように感じる。けれど、説明会の役目は、勉強を総入れ替えすることではありません。

逗子開成は、2026年11月7日(土)の10時から12時30分まで入試説明会を予定しています。小学6年生が優先で、1家庭3名まで。申込受付は10月6日(火)9時からです。他学年は、空席がある場合に10月26日(月)から申し込めます。

当日は、4教科の入試問題の傾向とアドバイスに加え、Web出願の流れや入試当日の注意事項が説明されます。入試相談、教科ごとの学習相談、試験会場の公開も予定されています。逗子開成を受けるか考えている6年生にとっては、学習面と当日の動きを同じ日に整理できる機会です。

今の段階で決められるのは、参加するか、誰が行くか、相談したいことがあるか、というところまでです。説明を聞く前から、教材を増やしたり、過去問の解き方を変えたりすることはありません。学校から示された話を、実際に解いた過去問や答案と照らしてから考えれば十分です。

説明を聞くときは、「今までの勉強でできていること」と「これから確かめること」を分けてメモしておくと、話が混ざりにくくなります。たとえば算数の助言を聞いても、直す点が時間の使い方なのか、途中作業なのかで、その後の練習は変わります。国語や理社も同じです。教科名だけで課題を決めず、学校が話した内容を答案のどこで確かめるかまで残します。

説明会のあとに課題がいくつも見つかっても、全部を一度に始める必要はありません。合格点へ近づくために、今の答案で直しやすいところから選ぶ。秋の学校別対策では、そのくらいの受け止め方がちょうどよいことも多いのです。

逗子開成中学校・高等学校「学校説明会」

迷った小問に△を残す

逗子開成の算数を解いている子を見ていると、序盤の小問で鉛筆が止まることがあります。式を書いては消し、また問題文へ戻る。答えが出ても、そこで思った以上に時間を使っています。後半へ進んだころには、図形や規則性に落ち着いて取り組む時間が残っていません。

2023~2025年の逗子開成の算数は、冒頭に小問集合があります。計算だけでなく、数の条件、割合、短い文章題、図形の基本処理が混じっています。後半には平面図形や立体図形、規則性なども見られます。序盤の一問を抱え込むと、そのあとの時間が苦しくなりやすい構成です。

過去問を解くときは、考え方がすぐ決まらない小問の番号に「△」をつけ、その問題からいったん離れてみてください。今回することはこれ一つです。答えまで出た問題でも、「合っている自信がない」と感じたなら△を残します。

たとえば、割合の短い文章題で、何をもとに計算するのか迷ったとします。式を書いたり消したりして粘らず、問題冊子の番号に△をつけて先へ進みます。解ける小問を終えたあとに△を見ると、戻る問題がすぐわかります。迷った問題を探し直す時間もかかりません。

この△は、過去問の直しでも使えます。間違えた問題だけを見ていると、時間をかけてたまたま正解した小問は直しから外れます。△が残っていれば、答えは合っていても迷った問題だとわかります。解説を読んだときも、どこで手が止まったのかを振り返りやすくなります。

今日は逗子開成の過去問から小問集合を一つ選び、迷った問題番号に△を残しながら解いてみてください。

小問の入口を急がない

逗子開成の算数は、最初の小問を雑にせず、丁寧に解くことが大事です。前半で気持ちが急ぐと、図や条件を見落としたまま後ろへ進んでしまいます。

まずは、問題を見たらすぐに答えに飛びつかず、何を求めているかを一度だけ確かめます。計算は計算、図は図、条件は条件として、紙の上で少し分けておく。そうすると、迷い方がだいぶ小さくなります。

図形や規則性では、見えたことを図や表にそのまま残すことが大切です。無理に頭の中だけで進めず、見たことを一度紙に置く。そうすると、次の一手が少しはっきりします。

小問は速く解くことより、最初から丁寧に解くことを優先してください。落ち着いて処理できれば、後半の問題に入る時点で、もう一段楽になります。逗子開成では、そこがいちばん効きます。

練習のときも、答え合わせの前に「どこで迷ったか」に印をつけておくと、次に直す場所が見えます。親が細かく言うより、本人が自分で気づける形にしておく方が、試験場では安定します。

小問を最初から丁寧に解く。それだけで、後半の見え方は少し変わります。

算数は、作業をていねいに進める力が問われる

逗子開成の算数は、前半に計算や一行問題が並び、後半に規則性、速さ、図形の問題が続く構成です。難しい知識をたくさん知っているかよりも、条件を読み取り、図や表に整理しながら考えられるかが大事になります。

前半の小問では、計算力と基本処理の正確さが必要です。分数・小数の混合計算、比や割合、立体の体積など、標準的な問題を確実に取る力が求められます。ここで慌ててミスをすると、後半に時間を残せません。

後半では、規則性や操作の問題、速さの出会い算、図形の分割など、手を動かして考える問題が目立ちます。たとえば、最初の数例を表にする、速さの条件を線分図にする、図形では分かる長さや比を書き込む、といった作業が必要です。頭の中だけで進めると、条件を一つ落としただけで解けなくなります。

対策としては、まず基本問題を正確に解く練習を続けること。その上で、過去問演習では答え合わせだけで終わらせず、「どの条件を使ったか」「図や表に整理できたか」を必ず確認してください。解法を覚えるよりも、問題文を読んで自分で整理する練習が重要です。

逗子開成の算数では、速く解くこと以上に、紙の上で考えを進める力が得点につながります。普段の演習でも、式、図、表を残しながら解く習慣をつけていきましょう。

組分けと学校対策のズレ

塾の組分けテストでは点が取れているのに、逗子開成の過去問になると手が止まる。そういう相談は少なくありません。原因は、力が足りないというより、テストの重心が違うことにあります。

組分けテストは、限られた時間の中で、既習範囲を速く正確に処理する力が問われます。もちろんそれは大事です。ただ、学校別の入試問題では、もう少し別の力も必要になります。条件を読み取り、図に書き込み、規則を表にして、途中の作業を自分で確かめながら進める力です。

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