文系に進むなら、高校三年では数学から離れる。そんな時間割も考えられますが、洗足学園はそうしていません。公式サイトの「授業と学習」には、数学を文理を問わず高校三年まで必修にするとあります。
これは、受験で数学を使うかどうかだけでは読めない方針です。学校が数学で目指しているのは、基礎力と考える楽しさ、そして「数学的コミュニケーション能力」。解法を覚えて答えを出すところで、数学の役目を終わらせてはいません。
数学では、なぜその式になるのか、条件から何が言えるのかを筋道立てて扱います。洗足が高校三年まで残しているのは、特定の進路に必要な計算だけではなく、ものごとを整理して人に伝えるための時間なのでしょう。私はここに、この学校の教科の置き方がよく出ていると思います。
学校は教育方針の中で、大学進学にとどまらず、新しい知識を理解し吸収できる学力を育てるとしています。中学受験では算数が好きか苦手かに目が向きますが、学校選びは入試当日までの話ではありません。文理を選んだ先でも数学を学び続ける六年間を、本人がどう受け止めるかです。
十二歳で将来の専門は決まりません。だからこそ、早くから使う教科と使わない教科に分けない。高校三年までの数学必修は、進路が見えてからも学ぶ範囲を細くしないという、洗足の判断です。
