中学一年で手にした楽器を、三年間続ける。洗足学園の音楽には、そんな時間があります。楽器経験のある生徒だけの特別授業ではありません。学校によれば、入学時には楽器に触れたことのない生徒がほとんどです。
一年生はヴァイオリン、フルート、クラリネット、トランペットの四つから、アンケートをもとに担当が決まります。希望どおりとは限りません。授業は楽器の組み立て方など、初歩からのグループレッスンです。学校の楽器を借りられるため、購入が前提でもありません。
しかし、一年ごとに別の楽器を広く試すのではない。原則として同じ楽器を三年間続けます。二年生の後半には同じ楽器同士で合奏し、三年生になるとチェロも加わって、クラス単位のオーケストラになります。
ここが洗足らしいところです。一人で音が出せるようになれば終わりではなく、同じ楽器の仲間と合わせ、最後は違う音色の中で自分の役割を担う。三年という長さがあるから、初心者の一音がクラスの合奏へつながっていきます。
学校生活の魅力は、上手な生徒の演奏だけではありません。初めて触れる楽器を手放さず、三年かけて人と音をつくる。その育ち方まで用意されていることです。
