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途中の22と、答えの60

洗足学園の2026年度第1回算数、大問2(3)は三種類の入場券を扱います。大人用は2000円、子ども用は1200円、大人と子どものペア券は3000円。売上は20万6000円で、来場した子どもは78人でした。さらに、ペア券は子ども用より少なく、大人用より多く売れたという条件があります。

条件を整理すると、大人用は22枚、ペア券は38枚になります。しかし、最後に問われたのは大人用入場券の枚数ではありません。その日に来場した大人の人数です。ペア券一枚にも大人が一人いるため、22人に38人を加えた60人が学校の示す答えです。

22という数字は、計算の途中では正しい。ここがおもしろいところです。公式解説はこの設問を「つるかめ算」としていますが、二種類の券の枚数が出たところで問題は終わりません。「売れた券」から「来場した人」へ、数える対象が最後に一度動きます。

ですから、22と38が残っている答案を、つるかめ算そのものが分からなかった答案と同じには扱えません。式はできているのに22人で終わったのなら、欠けたのは解法ではなく、途中の数と問いを結び直す最後の一段です。反対に二つの枚数が出ていなければ、戻る場所は計算の組み立てになります。

この違いは、単位を書けば防げるという話でもありません。22枚を22人と読み替えてしまえば、答え欄には「人」と書けてしまうからです。正しい途中値が、そのまま正しい答えになるとは限らない。洗足のこの一問は、計算を終えたあとも、何を数えているのかを手放さない答案を求めています。

洗足学園「2026年度 第1回算数 問題」
洗足学園「2026年度 第1回算数 問題解説」

筆者に反論する「考える国語」

筆者の考えが読めたら、国語の授業は終わりでしょうか。洗足学園の国語は、その先に進みます。学校独自の「考える国語」では、科学的批判や生命倫理など、いまの社会につながる文章を扱っています。

文章を丹念に読んだあと、筆者への反論や、別の立場からの意見を考える。時にはグループで話し合います。読解を正解の確認だけで閉じず、違う考え方が成り立つところまで言葉を動かしていく授業です。

意見は考えただけで終わりません。文章や口頭発表にし、プレゼンテーションやディベートも行います。中学二年ではディベートの学習も入る。異なる意見は、授業の材料になるのです。一方で、中学一年から文章検定の教材を使い、論理の組み立て方を「型」として繰り返し学ぶ。自由に話させるだけではありません。

私は、この基礎と対話の置き方が洗足らしいと思います。語彙や文法、論理の型を確かめたうえで、他人の意見と向き合う。自分の考えを強く言うことと、相手へ届くように組み立てることは同じではありません。

入試国語の先にあるのは、文章を速く解く技術だけではない。読んだ内容を一度受け止め、反対側から考え、自分の言葉に戻す。洗足の国語は、言葉を答えのためだけに使わせない授業です。

洗足学園「授業と学習|国語」

高三まで数学を手放さない

文系に進むなら、高校三年では数学から離れる。そんな時間割も考えられますが、洗足学園はそうしていません。公式サイトの「授業と学習」には、数学を文理を問わず高校三年まで必修にするとあります。

これは、受験で数学を使うかどうかだけでは読めない方針です。学校が数学で目指しているのは、基礎力と考える楽しさ、そして「数学的コミュニケーション能力」。解法を覚えて答えを出すところで、数学の役目を終わらせてはいません。

数学では、なぜその式になるのか、条件から何が言えるのかを筋道立てて扱います。洗足が高校三年まで残しているのは、特定の進路に必要な計算だけではなく、ものごとを整理して人に伝えるための時間なのでしょう。私はここに、この学校の教科の置き方がよく出ていると思います。

学校は教育方針の中で、大学進学にとどまらず、新しい知識を理解し吸収できる学力を育てるとしています。中学受験では算数が好きか苦手かに目が向きますが、学校選びは入試当日までの話ではありません。文理を選んだ先でも数学を学び続ける六年間を、本人がどう受け止めるかです。

十二歳で将来の専門は決まりません。だからこそ、早くから使う教科と使わない教科に分けない。高校三年までの数学必修は、進路が見えてからも学ぶ範囲を細くしないという、洗足の判断です。

洗足学園「授業と学習」

三年間、同じ楽器を続ける

中学一年で手にした楽器を、三年間続ける。洗足学園の音楽には、そんな時間があります。楽器経験のある生徒だけの特別授業ではありません。学校によれば、入学時には楽器に触れたことのない生徒がほとんどです。

一年生はヴァイオリン、フルート、クラリネット、トランペットの四つから、アンケートをもとに担当が決まります。希望どおりとは限りません。授業は楽器の組み立て方など、初歩からのグループレッスンです。学校の楽器を借りられるため、購入が前提でもありません。

しかし、一年ごとに別の楽器を広く試すのではない。原則として同じ楽器を三年間続けます。二年生の後半には同じ楽器同士で合奏し、三年生になるとチェロも加わって、クラス単位のオーケストラになります。

ここが洗足らしいところです。一人で音が出せるようになれば終わりではなく、同じ楽器の仲間と合わせ、最後は違う音色の中で自分の役割を担う。三年という長さがあるから、初心者の一音がクラスの合奏へつながっていきます。

学校生活の魅力は、上手な生徒の演奏だけではありません。初めて触れる楽器を手放さず、三年かけて人と音をつくる。その育ち方まで用意されていることです。

洗足学園公式「音楽教育」Q&A

洗足の体験は一枠を選ぶ

オープンキャンパスの申込画面を開くと、どの体験を選ぶかで迷うことがあります。人気がありそうな授業にするか、本人が気になる部活動にするか。洗足学園の今回は、一家庭につき一つの時間帯ですから、いくつも回って比べる行事ではありません。

2026年10月3日(土)は、午前に二つの時間帯が設けられています。各回とも、在校生が学内外の活動成果を発表したあと、受験生が部活動や授業を体験します。保護者は見学でき、同伴は一家庭一名です。

一枠だけとなると、受験に役立ちそうなものを選びたくなるかもしれません。しかし、ここは本人が入学後にやってみたいものを選んでよいと思います。授業の進み方を確かめたい子もいれば、先輩と一緒に活動してみたい子もいる。どちらが正しいという話ではありません。

当日は、体験が楽しかったかだけで終わらせず、その場で自分がどう動いていたかも振り返ってみるとよいでしょう。説明を聞いてすぐ始められたか、困ったときに声をかけやすかったか、発表を担う在校生の姿が心に残ったか。学校案内の文章だけでは浮かびにくい入学後の一日が、少し具体的になることがあります。

もちろん、一回の体験だけで学校との相性は決まりません。それでも、「この授業を受けたい」「あの先輩のように発表したい」という反応は、志望理由を本人の言葉にする材料になります。全部を体験できないからこそ、何を選ぶかにもその子らしさが出るものです。

予約受付期間は10月3日(土)午前8時30分までです。ただし先着順で、残席がなくなった時点で終了します。体験ごとの定員と空き状況は申込画面で確かめてください。

洗足学園公式「学校説明会&公開行事」

9月17日説明会で確かめること

学校説明会から帰ったあと、「よい学校だった」で話が止まることがあります。説明はよくわかった。でも、何がわが家の志望校選びに関係するのか、うまく言葉にできない。そういうことは珍しくありません。洗足学園の9月説明会では、教育について聞く時間と、実際の授業を見る時間を分けて考えておくと、持ち帰るものがはっきりします。

2026年9月17日(木)の学校説明会は、一般入試を考えている受験生・保護者が対象です。説明会は10時から11時15分まで。その後、希望者は12時10分まで校舎・授業を見学できます。定員は400組で、参加は1家庭3名までです。9月9日の公式サイト確認時点では予約受付の案内が出ています。miraicompassから申し込み、締め切りは当日午前8時30分ですが、先着順のため満席になれば終了します。キャンセル待ちはありません。

当日は、学校長による挨拶と学校説明、担当者による教育説明、最新の入試情報の説明が予定されています。2027年度募集要項もすでに公開されています。事前に一度目を通し、「入試について確認したいこと」と「学校生活について聞きたいこと」を分けて、二つか三つだけメモしておくと聞きやすくなります。説明内容を全部書き取るより、家庭で考えていたことと違った点を残すほうが、帰宅後の相談には使えます。

授業見学では、先生の話し方だけでなく、生徒が説明を聞いている時間と、自分で手を動かしている時間を見てみてください。教室の静かさやにぎやかさだけで判断せず、先生の問いかけに生徒がどう反応しているか、わからない場面で授業がどう進むかを見る。お子さん本人にも、気になった授業や教室を一つ覚えておいてもらうと、保護者とは違う見え方が出てきます。

個別相談会はありませんが、校舎見学の際には担当者へ質問できます。入試全般をその場ですべて確かめようとせず、説明で意味が取りにくかった点や、見学して初めて気づいたことを尋ねるくらいで十分です。なお、10月3日のオープンキャンパスとの重複予約も可能です。説明会で教育や入試の話を聞き、オープンキャンパスで生徒の活動を見る、という分け方もできます。

参加通知メールは、印刷したものか携帯電話の画面を当日提示します。開場は9時30分で、それ以前は校舎へ入れません。残席や当日の案内は、出発前にも公式ページで確認してください。

洗足学園「学校説明会&公開行事」公式ページ

条件が変わったら式を切る

過去問の直しをしていると、考え方は合っていそうなのに、途中から数字が合わなくなる答案があります。本人に聞くと、「速さが変わるのは分かっていた」と言います。ところが式を見ると、初めから終わりまで一続きです。読めていた条件を、計算の途中で切り替えられなかったのです。

洗足学園の2023年から2025年までの第1回算数には、途中で状態が変わる問題が見られました。途中から速さを2倍にして追いかける。水面が10cmに達すると隣へ水が流れ始める。容器の水が半分になったところで排水口を開ける。10個以上ならアメの単価が1割引きになる、といった場面です。今後も同じ形が続くとは限りませんが、条件の変わり目をつかむ練習には使えます。

こうした問題では、「その後」「半分になった時点で」「途中から」といった言葉のところに縦線を入れてみます。そして線の前後に「速さ2倍」「排水あり」「1割引き」など、一語だけ書きます。きれいな表を作るためではありません。「ここから別の式」と自分に知らせる印です。

計算も前半と後半に分けます。前半でかかった時間や売れた個数を出し、それを後半の出発点にします。全体を初めから一つの式に押し込むと、変わる前の速さと変わった後の速さが混ざりやすくなります。式が二本、三本になっても構いません。

過去問を直すときは、正しい式を書き写す前に、「どこで条件が変わった?」と聞いてみてください。本人がどこで変わったかわかっているなら、そこから計算を直せます。わからないときは、解説を読み込む前に変化の合図を探します。同じ単元を最初からやり直すより、こちらを先に確かめたほうがよいこともあります。

実際、縦線は引けたのに式が一本のまま、という答案もあります。そのときは、線のところでいったん鉛筆を止め、前半で何が分かったかを一つ書かせます。その数字を後半へ渡せれば、長い文章題を無理に一度で処理しなくて済みます。

後半の整理を問題用紙に残す

洗足学園の算数で大事なのは、後半の大問に入る前に、最初の整理を紙の上に残しておくことです。紙面量が多いので、頭の中だけで条件を追うと、後半で取りこぼしやすくなります。

長い条件文が出たら、人物、数、時刻、動くものに分けて短く書きます。問題文を全部写す必要はありません。後で使う条件だけを、余白に一語ずつ置いておく方が速いです。

表やグラフでは、まず何を表しているかをそろえます。行と列の意味、軸と単位、比べる区間を先に決める。図形や立体では、見える面だけで進まず、長さ、角度、重なり、奥の部分を図に書き戻してから使います。

個別の添削や指導が必要な場合は、邦学館 個別ワークスをご利用ください。

前半で落とさない

洗足学園の算数は、最初の計算で終わる問題ではありません。50分100点の中で、前半は計算や条件整理を手早く片づけ、後半で長めの条件文、表、グラフ、立体まで見ていく形です。だから、まず大事なのは「説明を長くすること」ではなく、「落とす条件を減らすこと」です。

式だけで十分な場面もあります。ただ、洗足学園では後半に入ると、表の何列目を使うか、図のどの条件を拾うかをはっきり残しておかないと、次の小問で迷います。答えの核は式か図でよい。そこに短い一行を添えるなら、「この条件を使った」「この表の見方で進めた」くらいで十分です。

前半で崩れる子は、式を急ぐあまり、数や単位、時刻、動くものを分けて紙に置いていません。逆に、説明を長くしすぎる子は、答案欄を使い切ってしまいます。洗足学園ではそのどちらも損です。まず条件を抜き出し、次に必要な式を書く。最後に、答案上で何を使ったかが一目で分かる短い注を足す。この順番が合っています。

後半のグラフや表、立体では、横軸と縦軸、単位、見えていない辺や高さを先に確認します。ここを飛ばすと、正しい式を書いてもずれます。洗足学園の算数は、紙面の情報をそのまま飲み込むより、条件を自分の答案に移し替える力を見ています。

個別の添削や指導が必要な場合は、邦学館 個別ワークスをご利用ください。

洗足学園の理科は、知識だけでは終わらない

洗足学園の理科は、単に用語を覚えていれば答えられる問題ばかりではありません。会話文や表、図を読み取り、そこから条件を整理して考える問題が目立ちます。たとえば、金属の熱による伸び、気圧と水面の高さ、生物と環境、光の散乱など、身近な題材を使いながら、計算や理由説明まで求められています。

対策は「読む・整理する・説明する」

まず大事なのは、問題文を急いで読まないことです。洗足の理科では、本文中に解くための条件がかなり書かれています。数値、単位、比例関係、比較する対象に印をつけ、何を使えばよいかを問題用紙上で整理する習慣をつけてください。

次に、計算問題では公式を覚えるだけでなく、「何が何に比例しているのか」を確認することが必要です。表の数値をそのまま使うのか、長さや重さに合わせて直すのか。この一段階を飛ばすと、答えは出ても合いません。

また、生物や環境の問題では、用語の暗記だけでなく、食物連鎖や環境変化のつながりを説明できるかが問われます。「ラッコが減ると、なぜ魚が減るのか」のように、途中の関係を言葉でつなぐ練習が必要です。

対策としては、過去問を解いたあとに、間違えた問題を知識不足、条件の読み落とし、計算処理、説明不足に分けて直すことです。ただ解き直すだけではなく、「どの条件を使えばよかったか」「なぜその答えになるか」を一言で書き残す。これを続けることで、洗足の理科に必要な読み取りと説明の力がついていきます。