集団塾で上位クラスにいると、親としては少し安心します。クラスが上にある、偏差値もそこそこ取れている。だから、このまま塾のカリキュラムについていけば大丈夫だろう、と思いたくなるのは自然なことです。
しかし、志望校が逗子開成に決まっているのであれば、そこでもうひとつ見ておかなければならないことがあります。
それは、塾の成績が逗子開成の入試問題にそのまま結びついているか、という点です。
塾のクラスと志望校対策は同じではない
塾のクラスは、塾内のテストで決まります。もちろん、その成績が悪いより良い方がいい。基礎学力、処理力、知識の定着を見るうえでは大事な材料です。
ただし、塾のテストは塾のカリキュラムに沿って作られています。一方で、逗子開成の入試問題は、逗子開成が「こういう力を持った子に来てほしい」と考えて作っている問題です。
だから、両者は重なる部分もありますが、完全に同じではありません。
ここを取り違えると、塾のクラスを守ることが目的になってしまいます。本来の目的は、逗子開成に合格する力をつけることです。塾のクラスはそのための手段のひとつであって、目的そのものではありません。
逗子開成の問題で本当に取れているかを見る
まず家庭で見てほしいのは、過去問や類題を解かせたときに、子どもがどこで止まるかです。
答えが合っているかどうかだけを見るのではありません。
問題文をきちんと読めているか。条件を整理できているか。途中で焦って雑になっていないか。時間が足りなくなったときに、できる問題とできない問題を切り分けられているか。
こういうところに、その子の本当の課題が出ます。
塾のテストでは取れているのに、逗子開成型の問題になると取りこぼす。そういうことは決して珍しくありません。逆に、塾のクラスはそれほど高くなくても、志望校の問題との相性が良く、丁寧に準備すれば十分に戦える子もいます。
ですから、見るべきは「塾で何クラスにいるか」だけではなく、「逗子開成の問題に向かわせたとき、どの力が足りないか」です。
過去問は点数よりも、まず解き方を見る
過去問を始めると、どうしても点数が気になります。しかし、早い段階で大事なのは点数ではありません。
時間をかければ解けるのか。時間を切ると崩れるのか。解説を読めばすぐ納得するのか。それとも、考え方そのものがまだ身についていないのか。
この違いを見てください。
例えば、時間をかければ解けるのであれば、あとは時間配分や処理の練習が必要です。一方で、時間をかけても方針が立たないのであれば、まだその分野の考え方を補う必要があります。
同じ不正解でも、原因はまったく違います。
ここを分けないまま、ただ問題数を増やしても、なかなか改善しません。できなかった問題をもう一度解かせるだけではなく、「なぜできなかったのか」を見て、次に何を直すかを決めることが大事です。
学校別対策は、直前に始めるものではない
学校別対策というと、過去問を何年分も解くことだと思われがちです。しかし、本当はそうではありません。
過去問を解く前に、志望校の問題に必要な力を意識して、日々の勉強の中身を少しずつ変えていく。これが学校別対策の入口です。
逗子開成を受けるのであれば、逗子開成の問題で求められる読み方、考え方、時間の使い方を、早めに意識しておく必要があります。
塾の通常授業を続けながらでも、それはできます。
大事なのは、全部を学校別に切り替えることではありません。今やっている勉強の中で、「これは逗子開成につながっているか」「ここは別に補った方がいいか」と見ていくことです。
塾の授業で十分に補える部分は、そのままで構いません。しかし、塾の演習では埋まりにくい部分が見えてきたら、そこだけ早めに手を入れるべきです。
クラス維持のために負担を増やしすぎない
もうひとつ注意したいのは、塾のクラスを維持するために、子どもの負担を増やしすぎることです。
上位クラスに残るために宿題をこなし、組み分け対策をし、そのうえで学校別対策も始める。これでは、子どもが疲れてしまいます。
もちろん、塾の勉強を軽く見ていいということではありません。ただ、すべてを同じ重さで抱え込む必要はないのです。
逗子開成を第一志望にするなら、どこかの段階で優先順位をつける必要があります。
今は塾のクラスを守る時期なのか。それとも、志望校の問題に合わせて弱点を直す時期なのか。ここを親が冷静に見てあげることが大切です。
家庭でできる確認はシンプルでいい
家庭でできることは、難しく考える必要はありません。
まず、逗子開成の過去問や近いタイプの問題を一題、時間を気にせず解かせてみる。次に、別の日に時間を決めて解かせてみる。その差を見るだけでも、かなりのことが分かります。
時間をかければ筋道を立てられるのか。時間があるのに読み違えるのか。急ぐと計算が雑になるのか。条件整理で止まるのか。
そこが分かれば、塾の先生に相談するときも具体的になります。
「逗子開成の問題で、このタイプになると止まります」
「時間を切ると、最後の小問までたどり着きません」
「塾のテストでは取れているのに、過去問では条件を読み落とします」
こういう相談であれば、先生も答えやすいでしょう。漠然と「このままで大丈夫ですか」と聞くより、ずっと実のある話になります。
必要なら、部分的に学校別の手を入れる
塾で伸びている部分があるなら、それは活かせばいい。ただし、志望校に必要な力が塾だけでは十分に見えてこない場合は、そこを別に補う必要があります。
全部を変える必要はありません。
必要なところだけ、必要な時期に手を入れる。その方が、子どもの負担も少なく、効果も出やすいのです。
目的は、クラスを守ることではない
塾のクラスに残ることは、悪いことではありません。むしろ、そこで良い刺激を受け、学力を伸ばせるなら大事な環境です。
しかし、逗子開成を目指す以上、最後に向き合うのは塾のテストではなく、逗子開成の入試問題です。
だからこそ、早い段階で一度、志望校の問題に子どもを向かわせてみることです。
そこで見えた課題をもとに、塾をどう使うか、学校別対策をいつ入れるかを考える。順番はそこからで十分です。
慌てる必要はありません。しかし、遅らせすぎてもいけません。
塾の成績を見ながら、同時に志望校との距離を見る。逗子開成を目指す家庭にとって、この視点がいちばん大事だと思います。
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