夏休みの学習計画を立てる時期になると、まず塾の講習予定表を見てしまいがちです。何日授業があるか、宿題はどれくらい出るか、テストはいつか。もちろんそれは大事ですが、逗子開成を考えているご家庭は、もう一つ別の視点を持っておく必要があります。
それは、夏の計画を「塾の予定をどうこなすか」から考えるのではなく、「逗子開成に向けて何を仕上げるか」から考える、ということです。
夏は全部をやろうとすると失敗する
夏休みは時間があるように見えます。だから、あれもやろう、これもやろう、弱点も全部直そう、過去問も始めよう、という話になりやすい。
しかし実際には、夏期講習があり、宿題があり、復習テストがあり、家庭で自由に使える時間は思ったほど多くありません。しかも暑さもあります。移動もあります。疲れも出ます。
そこで大事なのは、夏にやることを増やすことではありません。むしろ、夏に何を優先するかを決めることです。
逗子開成の場合、奇をてらった特別な準備というより、問題を正確に読み、条件を整理し、標準的な問題をきちんと処理する力が大事になります。したがって、夏の段階でまず見るべきなのは、難問にどれだけ手を出すかではなく、基本から標準までの問題で取りこぼしが減っているか、という点です。
算数は「解けるはずの問題」を落とさない
逗子開成を目指す場合、算数はやはり大きな柱になります。ただし、夏にやるべきことは、やたらに難しい問題を増やすことではありません。
むしろ、これまで塾で習ってきた範囲の中で、まだあいまいな単元を洗い出すことです。速さ、割合、比、図形、場合の数、規則性。こうした分野で、解説を読めばわかるが、テストになると手が止まる、という問題が残っていないかを確認します。
特に注意したいのは、「何となくわかった」で終わっている問題です。逗子開成の算数では、条件を読み落としたり、途中で整理を雑にしたりすると、取れる問題を落とします。夏の間に、式を書く、図を描く、条件を並べる、という基本動作をもう一度徹底した方が良いでしょう。
夏の算数は、難問演習の量を競う時期ではありません。解けるはずの問題を確実に得点にする力を作る時期です。
国語は答案の直し方を決めておく
国語については、夏にただ文章をたくさん読むだけでは、なかなか力になりません。大事なのは、間違えた問題をどう直すかです。
逗子開成の国語では、文章の流れをつかみ、問いに合わせて答える力が必要になります。選択肢でも記述でも、本文のどこを根拠にしたのかがあいまいなままでは、安定しません。
したがって夏の計画には、国語の復習時間を必ず入れておくべきです。解きっぱなしにしない。間違えたら、なぜその選択肢を選んだのか、本文のどこを見ればよかったのか、記述なら何が足りなかったのかを確認する。
この作業は時間がかかります。しかし、ここを省くと、国語はいつまでも点数が安定しません。夏の国語は、量よりも直し方です。
理科・社会は知識の穴を作らない
理科と社会は、秋以降に伸びる部分も多い教科です。ただし、夏の段階であまりに知識の穴が大きいと、秋の学校別対策に入ったときに苦しくなります。
理科であれば、生物、地学、化学、物理の基本事項を一通り確認する。社会であれば、地理、歴史、公民の基本知識を夏の間にもう一度整理する。特に、塾のテキストで何度も出てきているのに覚えきれていないものは、夏のうちに手当てしておきたいところです。
ただし、理科社会に時間をかけすぎて、算数と国語が崩れるのは避けなければなりません。逗子開成を考えるなら、夏の中心はやはり算数と国語。その上で、理科社会の知識の穴を少しずつ埋めていく、というバランスが現実的です。
過去問は「本格演習」よりも研究として使う
夏に過去問を始めるべきか、という相談もよくあります。逗子開成の場合も、早くから過去問に触れておくこと自体は悪くありません。
ただし、夏の段階でいきなり時間を計って点数を出し、「合格点に届かない」と落ち込む必要はありません。まだ仕上がっていない時期ですから、点数が取れないのは当然です。
夏に過去問を見るなら、まずは研究として使うことです。どんな文章が出るのか。算数ではどのような分野が目立つのか。理科社会はどの程度の知識と考え方が求められるのか。時間内に全部を解くことよりも、学校の出題に慣れることを目的にした方が良いでしょう。
本格的に年度を決めて時間を計るのは、秋以降で構いません。夏は、逗子開成の問題を知り、今の勉強との距離を測る時期です。
夏の計画は一週間単位で見直す
夏休みの計画を立てるとき、最初から細かく作り込みすぎると、途中で崩れます。講習の疲れ、宿題の量、体調、家族の予定などで、予定通りに進まないことは必ずあります。
ですから、夏の計画は一週間単位で見直すぐらいがちょうど良いでしょう。
今週は算数の比を直す。来週は速さを確認する。国語は毎週一題、必ず復習までやる。理科社会は暗記の穴を決めてつぶす。こういう形で、週ごとの目標をはっきりさせると、夏の学習は進めやすくなります。
大事なのは、予定表をきれいに作ることではありません。実際に何ができるようになったかです。
塾の講習に流されすぎない
夏期講習は大きな学習機会です。けれども、塾の講習を受けているだけで逗子開成の準備が完成するわけではありません。
塾は多くの生徒に向けてカリキュラムを組みます。したがって、逗子開成に必要なことと、今その子に必要なことが完全に一致するとは限りません。
だからこそ家庭では、講習の宿題をこなすだけで終わらせず、「逗子開成に向けて、この夏に何を仕上げるのか」を見ておく必要があります。
クラスを維持するための勉強もあるでしょう。復習テストへの準備もあるでしょう。しかし、それだけに追われてしまうと、夏が終わったときに「結局、志望校に向けて何が進んだのか」が見えなくなります。
夏が終わったときに残すもの
夏の終わりに、すべての弱点が消えている必要はありません。むしろ、そんなことは現実的ではありません。
ただ、これだけは残しておきたい。
算数では、基本から標準問題の取りこぼしが減っていること。国語では、答案を直す習慣ができていること。理科社会では、明らかな知識の穴が少しずつ埋まっていること。そして、逗子開成の問題に対して、何を準備すべきかが家庭でも本人でも少し見えてきていること。
夏の計画は、量を詰め込むためのものではありません。秋からの学校別対策に入るための土台を作るものです。
逗子開成を目指すなら、夏の間に全部を完成させようとしなくてよい。ただし、何となく塾の予定をこなして終わる夏にはしないことです。
この夏に何を仕上げるのか。そこを家庭で決めておくことが、秋以降の伸びにつながります。
