鷗友算数、六番から途中を書く

同じ算数の試験でも、五番までと六番からでは、解答用紙の役目が変わります。鷗友学園の2026年度入試では、第1回、第2回とも八題が出されました。前半の五題は答えだけを書き、後半の三題は途中も書く形です。

問題冊子には、六番から八番について、答えを出すために必要な式、図、考え方、筆算などを解答用紙へ書くよう明記されています。問題用紙の余白は計算に使えますが、そこに書いたものは採点されません。この注意は二回の試験に共通しています。

ここで問われる書き方は、計算を最初から最後まで細かく並べることとは違います。どの数量に目をつけたか。図のどの関係を使ったか。何を求めてから答えへ進んだか。問題によって、解くために残すものは変わります。

解答用紙は両面一枚です。表には一番から六番までがあり、七番と八番の欄は裏面に置かれています。後半三題には、答えの欄とは別に広い記入欄があります。学校がその場所を用意している以上、後半は答えだけ合えばよい問題としては作られていません。

前半は答えを正確に出し、後半は考えた道筋が解答用紙に残るようにする。鷗友算数は、八題を同じ書き方で通す試験ではありません。六番に入ったところで、答案の作り方も切り替わるのです。

鷗友学園女子中学高等学校「入試結果・問題」

多読の先に自分の絵本がある

鷗友学園では、中学三年になると英語でオリジナルの絵本を一人一冊作ります。英作文の課題を何枚か提出する、という話ではありません。これまで身につけた英語を使って、物語を一冊の作品に仕上げるのです。

その準備は中学一年から始まっています。英語の授業はオールイングリッシュで行われ、授業内外には、自分で好きな本を選んで読む多読があります。学校にある英語の本は約三万冊。中学三年間で百万語以上を読むことが目標です。ただ大量に読ませるのではなく、自分で本を選ぶところから始まるのが鷗友らしいところです。

しかし、読んだ語数だけで英語の力を測っているわけではありません。中学三年で自分の絵本を作るとなれば、読んできた本の言葉の運びや表現を、今度は書き手として使うことになります。読む側から作る側へ移ることで、覚えた単語や文法が、自分の伝えたいことを表す道具に変わります。

私は、この順序がよいと思います。最初から上手に書くことを急がせず、まず自分で選んだ本をたくさん読む。そして三年間の終わりに、一冊を自分で作る。高校では、その読解力や発信力をディベートやスピーチへつなげていきます。英語を試験のためだけに置かず、読んで、考えて、相手に届けるものとして扱っている学校なのです。

鷗友学園女子中学高等学校「授業」

鷗友社会、貸出記録から「知る自由」へ

図書館で、誰が何を読んだか。2026年度第1回の鷗友社会は、最後の設問でこの記録を取り上げました。問われたのは用語や年号ではありません。戦前・戦中に警察などが閲覧記録を調べた理由と、それが現代の憲法で保障されるどの自由を侵すか、です。

問題文は「図書館の自由に関する宣言」から始まります。図書館が戦時中に政府へ協力した反省、特定の本を廃棄したり閲覧を制限したりした事件、米国愛国者法による貸出記録や利用者データの調査までが、一つの流れに置かれています。そして、利用者の秘密を守るという宣言の第三へ進みます。

閲覧記録には、住所、氏名、職業、借りた本の名が書かれていました。公式解答例は、戦争に反対するなど、政府や軍に都合の悪い考えを持つ人がいないか調べるため、としています。本の題名から人の考えを探ろうとした。その行為の目的まで説明しなければ、歴史の出来事を答えたことにはなりません。

もう一つの答えは「知る自由」です。貸出記録の話なので、個人情報だけに目が向きやすい。しかし設問は、「読者が何を読むかはその人のプライバシーに属する」という宣言を手がかりに、国家による調査が自由な読書を狭めるところまで考えさせています。

私は、この問いに鷗友社会の面白さがよく出ていると思います。身近な図書館から、戦争、国家権力、憲法上の自由へ話が動く。知識を一つ思い出すのではなく、資料の中で離れて見える事実を結び、最後は五点の記述にする問題です。

鷗友学園女子中学高等学校「入試結果・問題」

席替えから始まる自己発見

中学一年の席替えを、鷗友学園は「自己発見」と結びつけています。六年間の流れを見ると、入学後に自分レポートを作ってこれまでの自分を振り返る一方、頻繁に席替えを行い、他者との関わりの中で自分を発見していく、とあります。

自分を知るというと、一人で内面を見つめる作業のように思えます。しかし鷗友では、それだけでは終わりません。席が変われば、近くで過ごす相手も変わります。いつも同じ関係の中にいるのではなく、違う相手と関わる機会を学校生活の中に置いているのです。

ここが面白いところです。自分レポートで過去を振り返りながら、日々の教室では新しい関係へ入っていく。自分というものを、すでに出来上がった性格として決めるのではなく、人との間で新しく見つけていくものとして扱っています。

中学入学の時期は、それまでの環境から大きく人間関係が変わります。鷗友は、その変化の中でさまざまな相手と関わる機会を、中学一年の教育に組み込んでいます。席替えは小さなことですが、学校が何を大切にしているかは、こういう日常の仕掛けによく表れます。

私は、六年間の最初に「自分はこういう人」と固めさせないところに鷗友らしさを感じます。多くの人と関わり、そのたびに自分の別の面を知る。中学一年の教室から、六年間の育ち方はもう始まっているのです。

鷗友学園公式サイト「6年間の流れ」

鷗友理科、同じ距離でもダンスが違う

同じ距離を、同じ速さで飛んだ。それでもミツバチのダンスは違いました。2026年度第2回の鷗友理科には、えさ場までに使ったエネルギーで距離を測る、という仮説を実験から確かめる問題があります。

実験では、巣箱から35メートル離れた場所に長さ6メートルのトンネルを置き、内側の模様を変えました。奥のえさ場まで飛んだ二つの条件では、移動距離も速さも同じです。ところが、一方は八の字ダンス、もう一方は円形ダンスになりました。

ここで問われるのは、ミツバチの知識ではありません。「使ったエネルギーが同じなら、伝える距離も同じになるはずだ」と仮説から予想し、実際の結果との食い違いを言葉にできるかです。解答例も、同じ距離を移動して同じ量のエネルギーを使ったのに、ダンスが異なったことを理由にしています。

四つの条件を一つずつ読むと、模様やダンスの種類に目が散ります。しかし、仮説を崩す二条件だけを並べると、見るべきものは少ない。同じものは距離とエネルギー、違ったものは模様と結果です。実験問題は、書かれている情報を全部説明する問題ではないのです。

私は、この設問に鷗友理科の面白さがよく出ていると思います。覚えた知識を当てる前に、どの比較が仮説を支え、どの比較が仮説を崩すのかを決める。答案には結論だけでなく、その結論を生んだ二条件の食い違いが要ります。

鷗友学園女子中学高等学校「入試結果・問題」

鷗友の園芸は一人一つの畑から

学校の時間割を確認していて、「園芸」という名前に手が止まることがあります。鷗友学園には校内に園芸実習園があり、中学1年では週2時間、高校1年では週1時間、園芸が必修になっています。

これは、花や野菜の育て方だけを覚える授業ではありません。鷗友では創立当初から、植物を育てる園芸、植物の構造を学ぶ理科、植物を食する家庭科を結ぶ「合科」という考えがありました。今の授業にも、その考えが受け継がれています。

園芸実習園では、一人ずつに小さな畑が与えられます。そこで野菜や花を育て、土に親しみ、生命が日々成長する様子を経験します。教室で説明を聞くだけで終わらない授業です。

中学1年の園芸では、授業で作った押し花をテキストの表紙に貼ります。学年末には、自分だけの表紙を持つテキストが出来上がります。畑で育てる時間だけではなく、手元に残る形まで授業に含まれているのです。

一つの授業だけで鷗友の教育をすべて説明することはできません。ただ、受験科目だけでなく、土や植物に触れる必修授業を中学と高校に置いている。そこには、知識を教科ごとに分けたままにせず、経験と結びつける鷗友の考えがよく表れています。

鷗友学園公式「授業」

かもめ祭で見る子どもの反応

文化祭の帰りに「どうだった?」と聞くと、「楽しかった」で終わる子は少なくありません。保護者としては、志望校として合うのか知りたいところです。でも、細かな感想を言わせようとすると、子どもはかえって黙ってしまいます。そんなときは、本人がどこで足を止めたかを思い返すと、言葉にならなかった関心が見えてきます。

鷗友学園の2026年度学園祭「かもめ祭」は、9月12日(土)と13日(日)に予定されています。全学年が対象で、公開行事は予約制です。公式サイトには2026年度のプログラムも掲載されています。参加を考える場合は、予約の空き状況を申込画面で確認してください。

事前にプログラムを見ながら、本人に行きたい場所を二つほど選んでもらうと、当日の見方が定まります。全部を回る必要はありません。展示の前で文章を読み込むのか、生徒の説明に耳を傾けるのか、部活動の様子を長く眺めるのか。保護者が見せたい場所と違っても、少し待ってみると、その子なりの関心が表れます。

鷗友生とのやり取りも見ておきたいところです。自分から質問する子もいれば、少し離れて話を聞く子もいます。どちらがよいということではありません。説明を聞いたあとに表情が変わったか、もう少し見たそうにしていたか。入学後の自分を考えるきっかけがあったかどうかは、そんな反応に出ることがあります。

帰宅後は詳しい感想文を求めず、「もう一度見たい場所」「少し気になったこと」「覚えている生徒の様子」を一つずつ聞く程度で十分です。答えが短くても、そのまま残しておきます。学園祭の一日だけで志望順位を決める必要はありません。後日の説明会や学校見学で、同じ反応が続くかを比べる材料になります。

鷗友学園公式サイト「説明会・公開行事」

設問間の条件継承

鴎友学園の国語記述では、一つの設問だけを見て答えを作ると、少しずれることがあります。前の設問で確認したこと、設問に入っている条件、本文のどこを根拠にするか。そこを引き継げるかどうかで、答案のまとまりが変わります。

前の設問を捨てない

記述問題では、設問ごとに聞かれていることが少しずつ変わります。ただ、完全に別々の問題として処理するより、前の問いで見た本文の場所や、確認した人物の気持ち、理由の流れを次の問いで使う場面があります。

だから、まず設問を読むときに、何を聞かれているかを短く押さえる。理由なのか、気持ちなのか、変化なのか。次に、前の設問で使った本文の場所とつながるかを見る。つながるなら、その条件を答案の中で外さないようにします。

結論を先に置く

時間が限られているときは、説明を積み上げてから結論を考えるより、先に短く結論を置く方が安全です。何を答えるのかを最初に決め、そのあと本文の根拠を添える。鴎友の記述では、この順番を持っておくと答案が崩れにくくなります。

例えば、前問で「理由」を考えたあと、次の問いで「そのときの気持ち」を聞かれた場合、理由の流れを無視して気持ちだけを書くと浅くなります。設問の語句に線を引き、前問から引き継ぐ条件を一つだけ余白に残す。長く書く必要はありません。「理由」「変化」「本文の場所」くらいで十分です。

直しでは、模範解答を写す前に、最初の一文が設問に答えているかを確認する。次に、その一文を支える本文の場所が見えているかを確認する。それから説明を足す。順番は、結論、根拠、説明です。

個別の添削や指導が必要な場合は、邦学館 個別ワークスをご利用ください。

式を急いで立てない

鴎友学園の算数では、問題文に書かれた条件を整理してから考えないと、式は合っていても使う数字を取り違えることがあります。特に割合、速さ、図形などでは、読んですぐ式を立てるより、何がわかっていて、何を求めるのかを先に確認することが大切です。

式を急いで立てない

問題を読んだら、まず求めるものに線を引きます。次に、使えそうな数字のそばへ「全体」「残り」「速さ」「面積」など、短い言葉を書き添えます。数字だけを見て計算を始めると、長さと面積を混ぜたり、もとの量と変化後の量を取り違えたりしやすくなるからです。

図形の問題では、与えられた長さや等しい部分を図に書き込みます。文章題では、数量の関係を簡単な線分図や表にしてから式を作ります。立派な図を描く必要はありません。どの数字とどの数字を使うのかが見えれば十分です。

また、式を立てたあとには、その式が何を求めているのかを一度確認してください。途中で出た数字が答えではなく、さらに計算が必要な場合もあります。普段の演習でも、すぐに計算を始めず、条件を整理してから式にする習慣をつけることが、鴎友の算数で安定して得点する力につながります。

鴎友の社会は、知識を資料の中で使う力が必要

鴎友学園女子の社会は、地理・歴史・公民の3分野から幅広く出題されますが、単純な知識問題だけではありません。文章を読み、地図・表・グラフ・年表などを組み合わせて判断し、理由まで説明する問題が多く見られます。45分の中で資料を正確に読み取る力が必要です。

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