中学一年の席替えを、鷗友学園は「自己発見」と結びつけています。六年間の流れを見ると、入学後に自分レポートを作ってこれまでの自分を振り返る一方、頻繁に席替えを行い、他者との関わりの中で自分を発見していく、とあります。
自分を知るというと、一人で内面を見つめる作業のように思えます。しかし鷗友では、それだけでは終わりません。席が変われば、近くで過ごす相手も変わります。いつも同じ関係の中にいるのではなく、違う相手と関わる機会を学校生活の中に置いているのです。
ここが面白いところです。自分レポートで過去を振り返りながら、日々の教室では新しい関係へ入っていく。自分というものを、すでに出来上がった性格として決めるのではなく、人との間で新しく見つけていくものとして扱っています。
中学入学の時期は、それまでの環境から大きく人間関係が変わります。鷗友は、その変化の中でさまざまな相手と関わる機会を、中学一年の教育に組み込んでいます。席替えは小さなことですが、学校が何を大切にしているかは、こういう日常の仕掛けによく表れます。
私は、六年間の最初に「自分はこういう人」と固めさせないところに鷗友らしさを感じます。多くの人と関わり、そのたびに自分の別の面を知る。中学一年の教室から、六年間の育ち方はもう始まっているのです。
